「自治会に入りません」そう言われて困ってしまった経験はありませんか?
実際に隣保長として若い夫婦に町内会費をお願いしに行った時、きっぱりと断られて戸惑った私。でも、そこから見えてきたのは、若い世代と高齢者世代、お互いの立場や価値観の違いでした。
今回は、自治会に入らない若者の本音と、両世代が納得できる解決策を、実体験を交えながらお話しします。どちらの気持ちも大切にしながら、みんなが過ごしやすい地域づくりのヒントを一緒に考えてみませんか?
自治会に入らない若者の本当の理由
時間と費用負担への切実な不安
働き盛りの若い世代にとって、自治会の活動って本当に負担が大きいんです。朝早くから夜遅くまで働いて、やっと帰ってきたのに「明日の朝7時から清掃活動」なんて言われても、正直きついですよね?
立川市では自治会加入率が52%(2005年)から42%(2017年)へと10年間で10%も減少しているんです。これって単なる偶然じゃないと思うんです。若い世代が感じている負担の重さが数字にも表れているんじゃないでしょうか。
月々の町内会費も、子育て世代には決して安くない出費です。年間3000円から10000円程度が相場ですが、保育園代や住宅ローンで家計がカツカツの中、「何に使われているかよくわからないお金」を払うのは躊躇してしまいますよね。実際に隣保長をしていた時に感じたのは、お金の問題以上に「時間の使い方への価値観の違い」が大きな壁になっているということでした。
年配の方にとっては「みんなでやるのが当たり前」でも、若い世代は限られた時間の中で「本当に必要なこと」を選択したいと考えているんです。この感覚の違い、どちらも理解できませんか?
強制参加への抵抗感が生む心理的障壁
「参加は義務です」って言われると、なんだかモヤモヤしちゃいませんか?特に若い世代は、個人の選択を大切にする価値観で育っているので、強制的な雰囲気にすごく敏感なんです。
私が町内会費の集金に回った時も、若い夫婦から「なぜ入らなければいけないのか理由がわからない」と言われました。その時の表情は決して反抗的じゃなくて、むしろ困っているように見えたんです。きっと「断ったら地域で浮いてしまうかも」という不安と、「納得できないものに参加したくない」という気持ちの間で揺れていたんだと思います。
現在の自治会制度って、戦後すぐの「みんなで協力しないと生活が成り立たない」時代の名残が強いんですよね。でも今は、インターネットで情報収集できるし、宅配便で買い物もできる。生活に必要なサービスの多くが個人で解決できる時代になったから、「なぜ今でも全員参加が必要なの?」という疑問を持つのは自然なことだと思うんです。
この心理的な抵抗感を理解せずに「昔からそうだから」で押し切ろうとすると、ますます溝が深くなってしまうんじゃないでしょうか。
ちなみに、私が引っ越してきた時は当時の役員さんに、「自治会に入らないとゴミ出しもできないよ」と言われ、それは困ると即加入したんです。
そういう強制的な言い方が、自治会に参加したくないという原因にもなっているような気がします・・・(;^_^A
実際は、自治会に入らなくてもゴミ出しはできるのでご安心を!

デジタル世代が感じるアナログ運営への違和感
回覧板システムに代わる情報共有の必要性
回覧板って、正直面倒くさくないですか?スマホで3秒で確認できる情報を、なぜわざわざ隣の家まで持っていかなきゃいけないんでしょう。しかも「○日以内に次の家へ」なんてプレッシャーまで付いてくる。
デジタル世代の若者にとって、このシステムは本当に理解しがたいものなんです。仕事でもプライベートでも、必要な情報はスマホ一つですぐに取得できるのが当たり前の世代ですから。「なんで今どき紙で?」って思っちゃうのも無理はないですよね。
私の住む町内でも、最初は「若い人たちはわがまま」なんて声もありました。でも実際に話を聞いてみると、彼らが求めているのは決して「楽をしたい」ということではなくて、「効率的で現代的な方法」だったんです。
最近では少しずつ変化も起きていて、LINEグループで連絡を取り合う自治会も増えているそうです。情報の伝達スピードは格段に上がるし、既読機能で確認状況もわかる。これなら若い世代も抵抗なく参加できそうですよね。
働き盛り世代の生活リズムと合わない活動時間
朝の7時から清掃活動、平日の昼間に総会、夜の7時から会合…これって専業主婦や退職後の方には参加しやすい時間かもしれませんが、共働き世帯にはかなりハードルが高いんです。
保育園に子どもを預けて、朝8時には電車に飛び乗って、夜も8時過ぎまで残業。そんな生活の中で「明日の朝7時から参加してください」と言われても、物理的に無理なケースが多いんですよね。
でも、これって若い世代が「やりたくない」わけじゃないんです。実際に私が話した若いお母さんは「地域のためになることはしたいけれど、現実的に時間が合わない」って困っていました。この気持ち、すごくよくわかります。
時間的な制約があるからといって「地域に関心がない」と決めつけるのは、ちょっと違うんじゃないでしょうか。むしろ、柔軟な参加方法を考えることで、多くの若い世代が協力してくれる可能性があるんです。
高齢者世代が抱える困惑と現実的な悩み
町内会費未納で生まれる運営への支障
隣保長を経験して一番困ったのが、やっぱり運営費の問題でした。町内会って、思っている以上にお金がかかるんです。街灯の電気代、公園の清掃用具、お祭りの準備費用…細かい出費が積み重なって、年間数十万円になることもあります。
参加世帯が減ると、残った世帯の負担がどんどん重くなるんですよね。「今年は一世帯あたり年間8000円になります」なんて言おうものなら、さらに脱退者が増えて悪循環に。これが現実なんです。
でも高齢者の方たちの気持ちもすごくよくわかるんです。「長年この地域を支えてきた」という誇りがあるし、「みんなでやってきたからこそ、今の住みやすい環境がある」という実感もある。その思いを若い世代に理解してもらえないのは、本当に辛いと思います。
実際に町内会費の集金に行った時、年配の方から「最近の若い人は地域への愛着がない」と相談されることが何度もありました。その言葉の裏には、寂しさと不安が混じっていたんじゃないでしょうか。
担い手不足が招く役員負担の深刻化
隣保長として直面した若い夫婦との対話
「申し訳ありませんが、自治会には入りません」
新しく引っ越してきた若い夫婦にそう言われた時、正直どう返していいかわからなくなりました。でも、その時の夫婦の表情は決して冷たいものじゃなかったんです。むしろ申し訳なさそうで、きっと彼らなりに悩んだ末の決断だったんだろうなって感じました。
話を聞いてみると、奥さんは育児休暇中で、旦那さんは毎日終電近くまで働いている状況。「参加したい気持ちはあるけれど、今の生活では現実的に難しい」というのが本音でした。
その時思ったのは、私たち年配者が考える「当たり前」と、若い世代の「現実」には大きなギャップがあるということ。お互いが悪いわけじゃないんですよね。ただ、生活環境や価値観が違うだけなんです。
この経験がきっかけで、町内会の運営方法を見直すことになりました。きっと同じような悩みを抱えている地域は全国にたくさんあるんじゃないでしょうか。
従来の価値観と現代のライフスタイルの溝
昔は地域のつながりが生活に直結していました。井戸を共同で管理したり、火事の時はみんなで協力したり、子どもたちをみんなで見守ったり。そんな時代の「助け合い」の精神が、今の町内会の基盤になっているんです。
でも現代は違いますよね?水道をひねれば水が出るし、何かあれば110番や119番に電話すれば専門の方が来てくれる。子どもの安全も、防犯カメラや見守りサービスである程度確保できる。
だからといって「地域のつながりはもういらない」というわけじゃないと思うんです。ただ、つながり方や協力の仕方が変わってきているだけで、根本的な「みんなで住みやすい街を作りたい」という気持ちは、きっと若い世代にもあるはずなんです。
問題は、その気持ちを表現する方法や参加の仕方が、従来の仕組みとマッチしていないことなんじゃないでしょうか。
地域コミュニティ維持への不安と焦り
年配の方たちが一番心配しているのは「このままでは地域のコミュニティが崩壊してしまう」ということなんです。これまで何十年も続けてきた地域活動が、参加者不足で成り立たなくなってしまう。その不安は痛いほどよくわかります。
東京23区内では1970年頃には自治会加入率が50%を切っているという現実を見ると、この不安は決して杞憂じゃないんですよね。実際に解散してしまった自治会もあるそうですし。
でも、焦りが先に立って「とにかく若い人も参加すべき」という圧力をかけてしまうと、ますます溝が深くなってしまうんです。むしろ「なぜ地域のコミュニティが必要なのか」「今の時代に合った形はどんなものか」を一緒に考える姿勢が大切なんじゃないでしょうか。
私の経験では、年配の方の豊富な知識や経験と、若い世代の新しいアイデアや技術を組み合わせることで、これまでにない素晴らしいコミュニティができる可能性があると感じています。
現在の自治会制度が抱える構造的問題
義務的参加が生み出す世代間の対立
「みんな参加するのが当たり前」という文化が、実は一番大きな問題なのかもしれません。善意から始まった地域活動が、いつの間にか「義務」や「負担」に変わってしまっている。これじゃあ、どちらの世代も幸せじゃないですよね。
若い世代は「強制されている」と感じてストレスを感じるし、年配の世代は「協力してもらえない」と寂しさを感じる。本当はみんな「住みやすい地域にしたい」という同じ目標を持っているのに、なんだかもったいないと思いませんか?
実際に町内会の会合に出席していると、この対立構造をひしひしと感じることがあります。「最近の若い人は…」という声と、「昔の押し付けはもう通用しない」という意見が平行線をたどってしまうんです。
でも、この対立って実は「参加の仕方」の問題であって、「参加したいかどうか」の問題じゃないんですよね。多くの若い人も、本当は地域のことを気にかけているんです。ただ、従来の方法では参加しにくいだけなんです。
透明性不足が招く運営への不信感
「町内会費って何に使われているの?」これ、若い世代からよく聞かれる質問です。毎月お金を払っているのに、使い道がよくわからない。これでは不信感を持たれても仕方ないですよね。
私が隣保長をしていた時も、収支報告書を見せてほしいと言われたことがあります。でも正直、手書きの帳簿で、しかも項目が「雑費」「その他」ばかり。これじゃあ説明のしようがないんです。
現代の若い世代は、会社でも家計でも、お金の流れを明確にする習慣があります。スマホの家計簿アプリで、コーヒー一杯まで記録している人も多いですから。そんな人たちにとって、アバウトな会計処理は理解しがたいものなんです。
でも、これって年配の方が悪いわけじゃないんですよね。今まではそれで問題なかったし、みんな信頼関係で成り立っていたから。ただ、時代が変わったので、やり方も変える必要があるということなんです。
役員負担の重さが若者を遠ざける悪循環
古い慣習に固執する組織運営の限界
「班長は持ち回りで」「会計は3年任期」「総会は必ず平日の昼間」…こうした昔からの決まりごとが、働き盛りの世代には大きな負担になっているんです。
特に役員になると、平日の昼間に銀行に行ったり、市役所に手続きに行ったり、平日しか対応していない業者とのやり取りがあったり。これって、フルタイムで働いている人には本当に難しいことなんですよね。
私の町内でも、若い世代の方から「役員をやりたい気持ちはあるけれど、平日に動き回ることができない」という相談を受けました。その方は土日なら時間を作れるし、パソコンを使った作業なら得意だと言ってくれたんです。
でも従来の仕組みでは、その力を活かせない。これって本当にもったいないと思いませんか?せっかく協力したいと言ってくれているのに、システムが対応できていないんです。
費用対効果が見えない活動内容への疑問
- 年1回の親睦会
- 毎月の清掃活動
- 回覧板の管理
- お祭りの運営
- 防犯パトロール
これらの活動、確かに大切なんですけど、若い世代から見ると「本当に今のやり方でいいの?」という疑問も理解できるんです。
例えば親睦会。年に一回、平日の昼間に公民館で開催して、参加者は毎回同じ顔ぶれ。これで本当に地域の親睦が深まるのかな?って思っちゃいますよね。
清掃活動も、みんなでワイワイやるのは楽しいけれど、効率的に考えたら業者に委託した方が早くて綺麗になるかもしれません。その分の時間とお金を別のことに使えばいいのに、って考える人がいても不思議じゃないです。
でも、ここで大切なのは「効率だけじゃない価値がある」ということを、お互いに理解することなんです。清掃活動は掃除が目的じゃなくて、コミュニケーションが目的だったりするんですよね。
双方が納得できる新しいコミュニティの形
選択制参加で実現する無理のない関わり方
私の町内会で一番大きな変化は、「強制参加」から「選択制参加」に変わったことです。最初は「それじゃあ誰も参加しなくなる」という心配もありましたが、実際はそんなことありませんでした。
具体的には、年間の活動を全部リストアップして、「この中から自分ができることを選んで参加してください」というスタイルに変更したんです。清掃活動が無理なら、ホームページの更新を担当してもらったり、お祭りの準備が難しければ、当日の写真撮影をお願いしたり。
そうしたら、今まで「忙しくて参加できない」と言っていた若い世代からも、積極的に協力してもらえるようになったんです。自分の都合や得意分野に合わせて参加できるから、無理がないし、やりがいも感じてもらえているみたいです。
年配の方からも「みんなが楽しそうに参加してくれて嬉しい」という声をいただいています。強制的に参加してもらうより、自発的に協力してもらう方が、お互いにとって良いんですよね。
デジタル化による効率的な情報共有システム
SNS活用で変わる情報共有のあり方
回覧板に代わって導入したのが、LINEグループでの情報共有です。最初は「高齢者には難しい」という声もありましたが、思っていた以上にスムーズに移行できました。
LINEなら、緊急時の連絡も瞬時にできるし、写真付きで活動の様子を共有することもできます。「今日の清掃活動、こんなに綺麗になりました!」って写真を送ると、参加できなかった人からも「お疲れ様でした」「ありがとうございます」って返事が来る。こういう小さなコミュニケーションが、実はすごく大切なんです。
若い世代にとっては使い慣れたツールだし、年配の方にとっても、孫とのやり取りで覚えたLINEを地域でも活用できるのは良いことだと思います。デジタル化って、世代を繋ぐきっかけにもなるんですね。
もちろん、アナログ派の方のために紙での情報提供も継続しています。大切なのは「みんながアクセスしやすい方法を選択できる」ことなんです。
働く世代に配慮した時短イベントの必要性
従来の総会は平日の昼間に2時間かけて開催していましたが、これを土日の1時間に変更しました。しかも、事前にLINEで資料を共有して、当日は質疑応答と重要事項の確認だけに絞ったんです。
お祭りも、準備から片付けまで丸一日かかっていたのを、時間を区切って役割分担を明確化。「朝の準備班」「昼の運営班」「夕方の片付け班」に分けることで、フルタイムで参加できない人でも協力しやすくなりました。
こうした工夫をすることで、子育て世代や働き盛りの世代からも「これなら参加できます」という声をいただけるようになったんです。時間を短縮することで、むしろ集中して効率的な活動ができるようになった気がします。
イベントの質が下がるかと心配していましたが、実際は逆でした。参加者が増えて、若い世代のアイデアも取り入れることで、以前より活気のある活動になっているんです。
有志ベースの活動が生み出す自発性
一番大きな変化は「やりたい人がやりたいことをやる」という雰囲気になったことです。以前は「担当だから仕方なく」という参加が多かったのですが、今は「これやってみたい!」という声がよく聞かれるようになりました。
例えば、若いお母さんが「子ども向けのハロウィンイベントをやりませんか?」と提案してくれて、年配の方が「私たちも一緒にお化けの仮装しましょう」って盛り上がったり。こういう自然な交流が生まれるのが、有志ベースの良いところですね。
防犯パトロールも、従来は当番制でしたが、今は「散歩がてらに見回りします」という方や「犬の散歩コースに組み込みます」という方が自主的に協力してくれています。義務感からではなく、自分の生活に無理なく組み込める形で参加してもらえるのが理想的だと思います。
もちろん、必要最低限の活動は継続する必要がありますが、それ以外は「やりたい人がいる時にやる」「やりたい人がいなければやらない」という柔軟なスタンスに変わりました。この変化が、結果的にみんなの満足度を高めることに繋がっているんです。
まとめ
自治会に入らない若者の問題は、実は「入らない」ことが問題なのではなく、「入りたいけれど入りにくい」環境が問題だったんです。隣保長として直面したあの時の若い夫婦の困ったような表情が、すべてを物語っていたのかもしれません。
大切なのは、お互いの立場や価値観を理解しようとする姿勢です。若い世代には若い世代なりの事情があり、年配の世代には年配の世代なりの思いがある。どちらが正しい、間違っているという話ではないんですよね。
私たちの町内会が変わることができたのは、「みんなが住みやすい地域にしたい」という共通の目標があったからだと思います。参加の仕方や活動の方法は時代に合わせて変えていく必要がありますが、この根本的な思いはきっと変わらないはずです。
デジタル化、選択制参加、有志ベースの活動…これらはすべて手段であって、目的ではありません。本当の目的は、世代を超えてみんなが協力し合える、温かなコミュニティを作ることなんです。
もしあなたの地域でも同じような悩みを抱えているなら、まずは対話から始めてみてください。きっと、お互いの本当の気持ちが見えてくるはずです。そして、その気持ちを大切にしながら、みんなが無理なく参加できる新しい形を一緒に考えていく。それが、これからの地域コミュニティに必要なことなんじゃないでしょうか。
変化を恐れずに、でも大切なものは守りながら。そんなバランス感覚を持って、みんなで素敵な地域を作っていきましょう!
それでも自治会を退会したいなと思う人は、こちらの記事を参考によく検討してみて下さいね!

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